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お坊ちゃま探偵誕生 花房あきら君(探偵あきらシリーズ1)
紹介文
花房あきら君は六年生を迎える春休みに神奈川県の伯母の家へ遊びに行っていました。
そして、江ノ島で行われた子供探偵大会に参加するのです。
はたして、暗号は解けたのでしょうか・・・・・。
それから中学へ進んだあきら君だったのですが、女の子を苦手にしているところが窺えます・・・・・。
でも、そこを乗り越えて、女友だちと付き合うのですが・・・・・。
( この作品は、400字詰め原稿用紙34枚の作品です。)
探偵あきらシリーズ1
はじめに
子供の頃から、少年探偵団や怪盗ルパンなどが好きでしたので、最初は児童文学のつもりで書き始めたのですが、やはり少しは性の事にも触れた方が自然ではないかとの思いで執筆をつづけました。
児童ポルノ禁止法なるものがあるそうなので、どこまで許されるのか分からないのですが、お楽しみいただければ幸いです。
お坊ちゃま探偵誕生 花房あきら君
大空まえる
淡い想い出
あきら君は小学六年生に進むところです。
近所の友だちは、同級生の、のぼる君。
一つ下の、さとし君。二つ下の佳代ちゃん。
みんな仲良しです。
山の麓に、あきら君たちの家はあります。
学校までは歩いて三十分ぐらいでしょうか。
古い木造の校舎は落ち着いていて、趣のあるたたずまいです。
あきら君たちのクラスには、可愛い女の子が転校してきました。
おさげにしています。
彼女は、たちまちクラスの人気者になりました。クラスが明るくなったようです。
あきら君は学校を案内してあげました。
「おトイレは、あそこ。
ここが図書室だよ。」
「ありがとう。
私、本を見ていくわ。」
「そう。
じゃあ、また後でね。」
本は一人で見た方が落ち着くと思ったので、先に教室へ帰りました。
彼女は勉強も、なかなか出来るのです。
休み時間には、鬼ごっこや隠れん坊、それに、石蹴りなどをして、あきら君も一緒に遊びました。
ところが、ご家庭の事情だったのでしょうか、また、すぐに転校していってしまったのです。
ほんの僅かな、ほんの僅かな思い出だけを残して・・・・・。
あきら君は、今でも時々、彼女の住んでいた家の前を通ってみるのです。
ただそれだけの事なのですが・・・・・。
新緑の眩しい頃でした。
つゆの長雨が続いています。
そんな、ある日の事です。
「あきら、ヒヨコを買ってあげようか、どうする・・・・・。」
母の夏ちゃんが言いました。
「いいよ。
いらない。
もう、買わなくていいよ。」
あきら君は応えます。
苦い思い出があるのです。
じつは、以前にもヒヨコを買ってもらったことがあったのですが、良く世話ができなくて、かわいそうなことをしてしまいました。
それだから、もうヒヨコは飼うまいと心に誓ったのです。
そう、あれは悲しいことでした。
ヒヨコは可愛すぎます。
小さくて、毛がふさふさしていて、愛らしい目、ちっちゃな嘴、ちっちゃな足なのです。
畳をトントントンと叩けば駆け寄ってきます。
何度やっても飽きません。
何度でも繰り返します。
「ピー子!ピー子!トントントントン!」です。
タッタッタッタッ!と駆け寄ってくるのです。
そして、「ピーヨ!ピーヨ!」と鳴きます。
歩けばチョコチョコちょこちょこと付いてきて足に纏わりついてくるので危ないのです。
ペットというか、友達というのか、楽しい遊び相手ができました。
それなのに、急に元気がなくなったのです。
(おーい!元気を出してくれよ!いつものように遊ぼうよ!)
心で叫んでも届きません。
せっかく、いい遊び相手ができたのに。
(僕を一人にしないでおくれ!)
その願いもむなしく、二~三日後には亡くなってしまったのです。
(あーっ!僕のピー子がいなくなってしまった・・・・・。
あんなに楽しかったのに・・・・・。)
悲しくて堪えられませんでした。
(もう、あんな思いはしたくない。)
今でも、その思いは変わらないのでした。
伯母の家
北鎌倉は春です。
岡山生まれ、岡山育ちの花房あきら君は伯母の家へ遊びに来ているのです。
小学六年生を迎える春休みのことでした。
湘南の風は、爽やかです。
今日は江ノ島で子供探偵大会があるので伯母と一緒に行ってみる予定になっていました。
あきら君は起きると直ぐに雨戸を開けます。
気持ち良い朝です。
庭の芝生が清々しく、小鳥の鳴き声が心地よく聞こえています。
伯母は一人暮らしなので朝食は伯母が作ってくれるのです。
おいしい味噌汁でした。
地元のテレビ放送で今日の子供探偵大会のことが報じられています。
毎年行われている恒例のイベントなのです。
伯母はお洒落をしていました。
あきら君も準備OK。
さあ、出発です!
伯母の車は白のスポーツタイプで、その運転は華麗でした。
海岸沿いの道を風に吹かれながら進んでゆくと、やがて江ノ島です。
そして橋を渡ります。
広場が会場になっていました。
朝から大勢の親子連れで賑わっています。
あきら君たちも、それに加わりました。
子供だけでは危ないので保護者同伴が原則なのです。
ヨットハーバーには沢山のヨットが並んでいます。
岩場の方では釣りをしている人も多いのです。
江ノ島神社の参道も賑わっていて、土産物屋が活気づいています。
饅頭の蒸籠が湯気を吹いていました。
「お集りの皆さーん!
朝早くからご苦労様です。
おかげさまで子供探偵大会も今年で50回目を迎えることができました。
これも偏に皆様方の謎解きに対する情熱の賜物です。
今後ともよろしくお願いいたします。
さて、今年の暗号は皆様のお手元に前もってお届けしたものでございます。
この三日間で謎は解けましたでしょうか。
どうぞ宝の鍵を見つけてください。
もちろん、それは、この江ノ島のどこかにあるのです。
ご検討をお祈りいたします。」
また、これを読んでいる皆さんも先へ読み進める前に、ぜひ、今から三日間のうちに暗号を解いてみてください。
難しいと思いますので、大人の人に相談しながらがいいでしょう。
これが暗号です。
10000=036
2776 94135 24164
以上です。
R18 女刑囚物語 明日香英麿(探偵あきらシリーズ13)
紹介文
佐代子は小さい頃から貧乏な家庭に育った。
店先の食べ物を拝借して飢えをしのいでいたが、みんな許してくれていた。
しかし大きくなってからも盗みを働き、捕まって刑務所へ・・・・・。
服役中、研修としてデザインとAV女優を経験する。
そして出所・・・・・。
だがデザイン会社で辱められ、更に事件に巻き込まれて、また刑務所へ・・・・・。
辱めを受けながら過ごして、また出所。
そこで耕三に見初められ結婚・・・・・。
豪邸での優雅な暮らし・・・・・。
しかし、思いもよらぬ破産、そして主人の病気・・・・・。
でも佐代子は愛情をもって看病してゆく・・・・・。
果たしてこの先どうなるのか・・・・・。
(この作品は400字詰め原稿用紙94枚の作品です。)
(探偵あきらシリーズ13)
はじめに
罪を犯すことは、いけないことではありましょうが、どこまで大目に見てやれるものか・・・・・中には、かわいそうな身の上の人もいることでしょう・・・・・。
その辺を描いてみたかったのです。
お楽しみいただければ幸いです。
女刑囚物語
明日香英麿
空はどんよりと曇っている。
東京は下町の商店街。
朝から賑わっていた。
そんな果物屋の店先・・・・・。
「お父さん。
佐代子ちゃん、また桃を持ってゆきますよ。
可愛そうですねえ、お腹がすいてるんでしょう。」
「親戚の子だと思えばいい。
許してやろうじゃないか・・・・・。」
「このリンゴとバナナ、くださいな。」
「はい、毎度ありがとうございます。
六百三十円になります。」
佐代子は幼少の頃から食べるものにも困る有様。
よく、いろいろな店先から食べるものを盗み、飢えをしのいでいました。
母親は離婚してスーパーで働いていましたが、体を壊し、寝ていることが多くなっていたのです。
「お咲さん、これ、お昼が余ったから食べてね。
どう、具合は。」
「いつもいつも、すみません。
今日はだいぶ気分が良いようで・・・・・。」
「そう、それは良かったわ。
じゃあ、また来るから。
元気出してね。」
「ありがとうございます。」
「おかあちゃん。
お腹すいた!」
「お隣の佐伯さんが届けてくださったんだよ!
さあ、いただきましょう。」
そんな佐代子でしたが、学校での成績は悪くはなかったのです。
でも、窃盗は当たり前、お店の人には大目に見てもらいながら育ってまいりました。
そうして二十歳を迎えたころ・・・・・。
何とかお金が欲しい・・・・・。
裕福になりたい・・・・・その一心で計画を立てました。
宝石店の警備体制を入念に調べ、ある夜、忍び込んだのです。
そして、まんまと盗み出しました。
時価、数億円に上る宝石類です。
警察の懸命な捜査にもかかわらず手掛かりはつかめません。
この事件は迷宮入りになるかもしれない、そう思われ始めたころ、宝石店の店主は花房探偵事務所へ捜索を依頼したのです。
探偵あきらは、店主から詳しく事情を聴きます。
店には警備員が常駐しているのです。
おそらくトイレに行ったわずかな時間を狙って犯行に及んだのでしょう。
よっぽど入念に下調べをしたものと思われます。
頭のいい奴に違いありません。
そうして、あきらは盗癖のあるものを洗ってみたのです。
一人一人を調べていきました。
疑わしい人物がいたのです。
それは佐代子でした。
探偵の勘というものでしょうか、くさいと思ったのです。
貧乏な家庭に育ち、お金が欲しかったに違いありません。
あきらは、佐代子が急に羽振りがよくなったのに目を付けます。
しかし、彼女の生い立ちを調べるにつけ、その悲惨さに同情せざるを得ないのです。
出来るならば見逃してやりたい。
でも罪は罪だし・・・・・。
あきらは仕方なく、警察に通報します。
佐代子は、とうとう警察に窃盗罪で捕まってしまい、懲役二年の刑が確定しました。
佐代子は刑務所に収監されます。
刑務官の前に連れて行かれ・・・・・。