阿倍仲麿
天の原 ふりさけ見れば 春日なる 三笠の山に 出(いで)し 月かも
天を遠く眺めれば、春日の三笠の山に出ていたのと同じ月が出ているなあ
阿倍仲麿(あべのなかまろ)
十九歳のころ、遣唐使として唐へ渡った。
時の玄宗皇帝に気に入られて、中国名「朝衡(ちょうこう)」として、五十年以上仕えた。
一度帰国を許されたが、途中で船が難破して引き返し、結局帰れぬまま唐の地で亡くなった。
盛唐の大詩人である李白や王維とも親交があったそうです。
阿倍仲麿
天の原 ふりさけ見れば 春日なる 三笠の山に 出(いで)し 月かも
天を遠く眺めれば、春日の三笠の山に出ていたのと同じ月が出ているなあ
阿倍仲麿(あべのなかまろ)
十九歳のころ、遣唐使として唐へ渡った。
時の玄宗皇帝に気に入られて、中国名「朝衡(ちょうこう)」として、五十年以上仕えた。
一度帰国を許されたが、途中で船が難破して引き返し、結局帰れぬまま唐の地で亡くなった。
盛唐の大詩人である李白や王維とも親交があったそうです。
中納言家持
かささぎの 渡せる橋に おく霜の 白きを見れば 夜ぞ更けにける
(七夕の日、牽牛と織姫を逢わせるために、かささぎが翼を連ねて渡したという橋)(天の川)
天の川にちらばる霜のような星の群れの白さを見ていると、いつの間にか夜も更けたのだなあ
中納言家持(ちゅうなごんやかもち)
奈良時代後期の人、大伴家持(おおとものやかもち)です。
三十六歌仙の一人で、大伴旅人(おおとものたびと)の息子です。
早く父親に死に別れ、叔母の坂上郎女(さかのうえのいらつめ)に育てられたそうです。
猿丸太夫(さるまるだゆう)
奥山に 紅葉踏みわけ鳴く鹿の 声きく時ぞ 秋は悲しき
人里離れた奥山で、散り敷かれた紅葉を踏み分けながら、雌鹿が恋しいと鳴いている雄の鹿の声を聞くときこそ、いよいよ秋は悲しいものだと感じられるなあ。
万葉の頃より、秋には、雄の鹿が雌を求めて鳴く、とされているそうです。
猿丸太夫
伝説の歌人で、三十六歌仙の一人。
この歌も、古今集では、詠み人知らず、として紹介されているそうです。
山部赤人
田子の浦ゆ うち出(い)でてみれば 真白にそ
富士の高嶺(たかね)に 雪は降りける
田子の浦にでかけて遙かに見やれば、富士の高い峰に真っ白い雪が降り積もっているなあ。
山部赤人
奈良時代初期の宮廷歌人で、万葉集第三期の代表的歌人だそうです。
柿本人麿
あしびきの 山鳥(やまどり)の尾の しだり尾の
長々し夜を ひとりかも寝む
山鳥の尾の、長く長く垂れ下がった尾っぽのように長い夜を(想い人にも逢えないで)独りさびしく寝ることだろうかなあ
柿本人麿(かきのもとひとまろ)
持統天皇の頃の宮廷歌人で、三十六歌仙の一人。
下級官吏で710年ごろに石見の国(現在の島根県益田市)で亡くなったといわれているそうです。
万葉集の代表的歌人の一人で、長歌20首、短歌75首が収められているのだとか。
和歌2
持統天皇
春すぎて 夏来(き)にけらし 白妙(しろたへ)の
衣(ころも)ほすてふ 天(あま)の香具山(かぐやま)
いつの間にか春が過ぎて、夏がやってきたようです。
夏になると真っ白な衣を干すと言います、あの天の香具山に。
天の香具山
奈良県橿原市にある低い山で、畝傍山(うねびやま)・耳成山(みみなしやま)と並ぶ大和三山の一つだそうです。
この山は天から降りてきたという伝説があり、そのために「天の」が頭につくのだそうです。
持統天皇(じとうてんのう:645~702)
天智天皇の第二皇女で、壬申の乱のときに夫の大海人皇子(おおあまのみこ:後の天武天皇)を助けました。
夫の死後、皇子・草壁が二十八歳の若さで亡くなったために、持統天皇として即位したのだそうです。
刑部親王や藤原不比等らに命じて、法令集「大宝律令」を編纂させるなど、奈良時代の政治の根幹を固めたのだそうです。
天智天皇
秋の田の仮庵(かりほ)の庵(いお)の苫(とま)をあらみ
わが衣手(ころもで)は露にぬれつつ
天智天皇(中大兄皇子)
藤原鎌足とともに蘇我氏を撃ち、大化改新をなしとげ、天皇に即位。
秋の田圃のほとりにある仮小屋の、屋根を葺いた苫の編み目が粗いので、私の衣の袖は露に濡れていくばかりだ。
「かりほ」は「かりいお」がつづまったもので、農作業のための粗末な仮小屋のこと。秋の稲の刈り入れの時期には臨時に小屋を立てて、稲がけものに荒らされないよう泊まって番をしたりしました。「仮庵の庵」は同じ言葉を重ねて語調を整える用法、とのことです。
苫(とま)」はスゲやカヤで編んだ菰(こも=むしろ)のことだそうです。
天智天皇は平安時代には、歴代天皇の祖として非常に尊敬されていました。この歌は元々、万葉集の詠み人知らずの歌でしたがそういうイメージから、口伝で伝えられるうちに、天智天皇作とされるようになったようです。とのこと。
観桜の今年はできぬと思うたにゆくりなく観る満開の花
藤本楠庭
青山かひ(峡)下りくる川のここにして見やれば長く傾きて来る
---宇治川の米炊にてー--
窪田空穂
山峡の青い水の流れ・・・・・。
それを少し下流から見やれば・・・・・。
ゆるやかに傾斜をもって流れてくる・・・・・。
青き瀬はここに真白き波となり這ひあがり行くその青き瀬を
窪田空穂
瀬を流れゆく青い水・・・・・。
底に石があるのでしょうか・・・・・。
そこで水が逆巻いて・・・・・。
白く滾(たぎ)っている・・・・・。
それが永遠に続いているかのように・・・・・。
芝庭ははるかに廣し飼鶴の舞ひ立ちあそび下(お)りるによろし
中村憲吉
後楽園は広いですからねえ・・・・・。
時々放してやっているようですが、逃げないんですねえ・・・・・。
よっぽど馴れているんでしょうかね・・・・・。
自由に羽ばたいて遊ぶのには、もってこいなんでしょう・・・・・。
梅林の外(と)にでて鶴は羽ばたけり芝生に作る影のおほきさ
中村憲吉
梅林の外に広がっている芝生・・・・・。
そこで鶴は背伸びでもするかのように羽ばたくのです・・・・・。
そのときの影の大きいこと・・・・・。