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二階の窓あくる音は子の部屋と思ひつつわれは夕をりにき

            高安やす子



二階の部屋の・・・・・。

窓を開ける音・・・・・。

あの子の部屋だなあと・・・・・。

思う夕べ・・・・・。

きほひつつ出でゆかむ子に心よわく吾がさびしさは語らふべしや

              高安やす子



気を張って・・・・・。

出発する我が子・・・・・。

しかし・・・・・。

母親としての空しさは・・・・・。

子のぬぎて行きし着物をたたみつつわが空(むな)しさのすべなかりけり

                   高安やす子



お子さんが行ってしまわれた・・・・・。

母親としての寂しさ・・・・・。

子の部屋の広窓に満つる日の光われは入り来てひとり坐れり

             高安やす子



子供さんの部屋が日の光に包まれている・・・・・。

その部屋に・・・・・。

お一人で座って・・・・・。

何を思っておられるのでしょうか・・・・・。

秋晴れの日差しを受けて街路樹の葉のキラキラと輝いている

             藤本楠庭

庭芝を擡(もた)げて萌ゆるものの芽を明日は発(た)ちゆく子と見めぐりぬ

                   高安やす子



明日は行ってしまう我が子・・・・・。

庭の芝生の間から生えてくる草花の芽を・・・・・。

万感の思いで、共に見て過ごしている・・・・・。

はだら雪ふりたる庭に雪雲をもれくる光しばしにて消ゆ

            高安やす子



庭に雪が少し積もっていて・・・・・。

雲間からの日差しも・・・・・。

少し差したかと思うと・・・・・。

又すぐに雲に閉ざされてしまった・・・・・。

日(ひ)の條(すぢ)は時雨雲より洩りてさす敷浪白き打出の磯に

              高安やす子



敷浪、とは、次から次にしきりに寄せてくる波、だそうです。

打出浜、とは、滋賀県大津市松本町付近の琵琶湖岸の名称、だそうです。


雨模様の雲間より日が差していて・・・・・。

打出の磯には、白波が、次から次へと打ち寄せている・・・・・。

満潮となりたる浪は時折に思はぬ岩を超えてたぎつも

           高安やす子



満潮の波・・・・・。

時に・・・・・。

大きな岩にも打ち付けて・・・・・。

白く砕ける・・・・・。

白樺にめざめし小鳥とびたちて光たばしるごとき朝あけ

             高安やす子



早朝の・・・・・。

小鳥が飛び始める頃・・・・・。

白樺の枝を揺らすので・・・・・。

日差しが、ちらついている・・・・・。

木がらしにこのもかのもの山際は曙しろくふき晴れにけり

             太田水穂



夜が白々と明ける頃・・・・・。

空は晴れていて・・・・・。

木枯らしが吹いている・・・・・。

そして、あちらの山際も・・・・・。

こちらの山際も・・・・・。

雪が積もっていて・・・・・。

白くなっている・・・・・。

母の世話生きがいとして過ごしたる掛け替えの無い幸せな日々

              藤本楠庭