高安やす子 僕なりの鑑賞

白樺にめざめし小鳥とびたちて光たばしるごとき朝あけ

                    高安やす子


白樺の木々にねぐらをとっていた小鳥たちが目覚め、飛び立ってゆく、開けて間もない光に満ちた朝なのでしょう。

光たばしる、とは、どういう光景なのでしょうか・・・・・。

朝焼けの日差しなのでしょうか・・・・・。



満潮となりたる浪は時折に思わぬ岩を越えてたぎつも


満潮の波が、時折、思いもかけず岩に砕けて白い飛沫になっているのでしょうか。

たぎつ、とまで表現しているのは、煮えたぎつほどの勢いを表わしたものなのでしょうか。



日の條は時雨雲より洩りてさす敷浪白き打出の磯に


時雨雲から洩れてくる筋のごとき日の光に時より照らされ、磯に打ち寄せている白波なのでしょうか・・・・・。

どんよりと曇っているんでしょうね、それでも雨はやみ、天候は回復しているのでしょう。

だから、なおさら荒びながらも希望に満ちて見えるのではないでしょうか、白波の打ち寄せている磯の光景が。



はだら雪ふりたる庭に雪雲をもれくる光しばしにて消ゆ


庭に少し降った雪なんですね。

もう、上がったかと思えるように雲を洩れて光が差したのに、その光もすぐに消えて、また、ぶり返すかもしれないお天気なんですね。



庭芝を擡げて萌ゆるものの芽を明日は発ちゆく子と見めぐりぬ


庭の芝を、もたげて新芽が伸びてくる。

それを、明日は新たな人生に旅立つ子と見めぐりながら、名残を惜しんでいるのですね。



子の部屋の広窓に満つる日の光われは入り来てひとり坐れり


子のぬぎて行きし着物をたたみつつわが空しさのすべなかりけり


きほいつつ出でゆかむ子に心よわく吾がさびしさは語らふべしや


二階の窓あくる音は子の部屋と思ひつつわれは夕をりにき


母親の情に溢れていますね。

娯楽小説作家:藤本英明 (大空まえる・明日香英麿・藤本楠庭)

絵本・探偵小説・時代小説・随筆・歌集・アダルト小説などを執筆しております。

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