先生の鑑賞を参考にさせて頂いての鑑賞
春さむき梅の疎林(そりん)をゆく鶴のたかくあゆみて枝をくぐらず
中村憲吉
先生の鑑賞
鶴の長い脚、すらりとした美しい首、そのままの姿勢をくずさずに、梅の枝の下を歩むのですが、人間が物の下をくぐるときにするように首をまげたりはしないのです。
あの美しい均整さを保ったまま、まことに高雅に歩いてゆくのです。
憲吉は、この歌のことについて、この歌をのせた選集の後に、みずから次のように述べております。
「(前略)画趣とでも言おうか、画景に対するごとき心持、ないし画中に遊ぶごとき気分の歌へも(この作歌期に)新たに手をつけている。(中略)これは、洋画趣味ではなくて、南画ないし風俗画のそれである。」
作者たる憲吉がみずから言うように、この鶴は美しい日本画の軸の中から抜け出してでも来たように、生き生きとその姿態を、読む者の眼前に彷彿させます。
素晴らしい歌だと思います。
僕なりの鑑賞
早春の梅の疎林・・・・・。
そこを行く・・・・・。
すらりとした鶴・・・・・。
そのままの姿勢を保ったまま・・・・・。
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