感動(中村日哲先生)

ベンガラの渋き壁映え黒格子めぐらす庭に白椿顕つ(たつ)

                  中村日哲


京都の知人に誘われ、ある日八坂神社下の花見小路を散策している時、赤いベンガラ塗りの長壁がある料亭のそばを通りかかりました。まだ開店前の昼下り、その門をそっとくぐり前庭をのぞきますと、丈低く育てられています椿が白く、清らかな花を幾つかつけております。静かな中にも、何かすっきりとした感動を覚えた時の一首です。

ある歌人が感動ということを「心に浮かぶさざれ波」と述べております。

娯楽小説作家:藤本英明 (大空まえる・明日香英麿・藤本楠庭)

絵本・探偵小説・時代小説・随筆・歌集・アダルト小説などを執筆しております。

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