とぼしい情操なれど(僕なりの鑑賞)

あかあかと火鉢の火(ほ)ぐち立ちたれば更けてもの欲り餅ひをよぶも

                     

かき餅のかたき乾反(ひぞ)りに火がとほりふくらむ見ればものを思はず


ひたまちに餅のやくるをまつとしてこころいちづにわがあるものか

                   臼井大翼


火鉢の火が、カッカと燃え盛ってきたのでしょうか、夜も更けて口が寂しくなってきたので餅を持ってきてくれと妻に頼んだという事なのではないかと思われますが・・・・・。


固くなった餅に火が通って膨らんでくれば、もう何も言う事はなし、思うことはなし。


ひたすら一途に餅の焼けるのを待つばかり、今はただ、それだけなんでしょうね・・・。

娯楽小説作家:藤本英明 (大空まえる・明日香英麿・藤本楠庭)

絵本・探偵小説・時代小説・随筆・歌集・アダルト小説などを執筆しております。

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