何事も喜びにとって(和歌1)

   天智天皇

秋の田の仮庵(かりほ)の庵(いお)の苫(とま)をあらみ

わが衣手(ころもで)は露にぬれつつ


天智天皇(中大兄皇子)

藤原鎌足とともに蘇我氏を撃ち、大化改新をなしとげ、天皇に即位。


秋の田圃のほとりにある仮小屋の、屋根を葺いた苫の編み目が粗いので、私の衣の袖は露に濡れていくばかりだ。


「かりほ」は「かりいお」がつづまったもので、農作業のための粗末な仮小屋のこと。秋の稲の刈り入れの時期には臨時に小屋を立てて、稲がけものに荒らされないよう泊まって番をしたりしました。「仮庵の庵」は同じ言葉を重ねて語調を整える用法、とのことです。

苫(とま)」はスゲやカヤで編んだ菰(こも=むしろ)のことだそうです。


天智天皇は平安時代には、歴代天皇の祖として非常に尊敬されていました。この歌は元々、万葉集の詠み人知らずの歌でしたがそういうイメージから、口伝で伝えられるうちに、天智天皇作とされるようになったようです。とのこと。

人生やり直し作家:大空まえる

絵本・探偵小説・時代小説・随筆・歌集などを執筆しています。

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