先生の鑑賞を参考にさせて頂いての鑑賞

ゆく秋の大和の国の薬師寺の塔の上なる一ひらの雲

          佐佐木信綱



   先生の鑑賞

 名詞止めの歌であり、素材としては塔の上の空に浮かんでいる一片の秋雲のみで、何も特別のこととてないのですが、なにか夢幻の世界に誘いこまれるような、詩情豊かな歌だと思います。

澄みきった秋の空にぽっかりと小さい、おそらく糸を引いたような、あるいは紡いだ綿のような雲が浮かんでいるのでしょうが、声調の流れるようなおおらかさとあわせて、引き寄せられるような魅力を感じます。



   僕なりの鑑賞

好きな歌を一つあげるならば、この歌をあげるかもしれません。

何の説明もいらないような分かりやすい歌だと思います。

これほど調べの豊かな歌も他にないのではないでしょうか・・・・・。

娯楽小説作家:藤本英明 (大空まえる・明日香英麿・藤本楠庭)

絵本・探偵小説・時代小説・随筆・歌集・アダルト小説などを執筆しております。

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